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ノモア

no more, no less

年金問題は「バブル世代」の問題

社会

日本の人口動態:信じ難いほど縮みゆく国:JBpress(日本ビジネスプレス)

 

少子化や人口減少について危機感を煽る声があります。

 

しかし、人口減少(労働力の減少)と経済問題は直結しません。

100人が少しずつ税金を払うのでも、1人が沢山払うのでも、額が同じなら結果に大差ありません。

また体感としては可処分所得の方が重要です。

 

人口減少の問題は社会福祉、特に公的年金制度の問題ですが、その対策として「少子化の解消」「高齢化が癌」と思っているなら、本質的な部分を理解していないのだろうと思います。

 

人口ピラミッド

下の図は、よくみかける「人口ピラミッド」ですが、これの理想形は三角形ではなく「真っ直ぐな棒状」の形です。

 

図2 我が国の人口ピラミッド(平成25年10月1日現在)

 

 

人口は多くても少なくても同じ問題が起こります。

人口ピラミッド」において問題になるのは、「起伏」だからです。

凹凸は支える側と支えられる側のアンバランスさを表しています。

 

国土面積・人口密度、経済問題や食料・エネルギー問題などは、別の要因で起こることも少なくありません。

それを考えると、少な目で均一という状態の方が安全です。

 

年金制度の基本

日本の公的年金制度は、2人で1人の高齢者を支えれば成立するシステムです。 

 

子供を15歳以下、老人を60歳以上、とした場合の理想的な人口割合は、

おそらく[子供15%:大人65%:老人20%]辺りです。

 

現在の人口バランスは、[子供13%:大人62%:老人25%]です。

確かに少々バランスが悪いです。

子供の割合が低いので、いずれ問題が起こるだろうと予想できます。

 

しかし、現在は大人の人数が多いため、まだ破綻していません

年金制度の破たんは、20年後以降に深刻化する問題です。

 

苦しいのは25年後

人口ピラミッド」で一番起伏が激しくなっているのは、第一次ベビーブームの「団塊世代」ですが、この世代は実はそれほど問題ではありません。

 

なぜかというと、「団塊世代」は子供を沢山産んだからです。

団塊世代の子供である第二次ベビーブームの「団塊ジュニア世代」も人数が多いため、現在は大人の人口数が多いのです。

 

年金制度問題が深刻化するのは、その「団塊ジュニア」が年金受給を開始する頃です。

 

団塊ジュニア」は「バブル世代」とも呼ばれていますが、この層にいる人達はあまり子供を産みませんでした。

 

年金制度は、それ単体でみるとシンプルなシステムです。

高齢者になった時に自分の子供達に面倒をみてもらう、というだけの仕組みです。

ですから、子供をあまり産まない世代は歳をとってから困ります。

 

平均寿命を85歳として考えた場合、「団塊ジュニア」が年金受給を開始する2040~2060年くらいが年金制度問題のピークです。

 

ですから、一部には「今から子供を産めば2050年くらいから逆転できるかも!」と希望を抱いている人もいますが、間に合いません。

それどころか、その後のことを考えると、ここで人口を増やさない方が賢明です。

(通常の割合で出産するのは何ら問題ありません)

 

ポイント

重要なのは、「人口ピラミッド」は真っ直ぐな棒状がベストだということです。

 

2060年くらいまでの人口推移予測を目にすることが多いと思いますが、なぜ2060年なのかというと、年金制度を語る上で大事なのはそれ以降の推移だからです。

 

下の図に2070年・2100年の予測(右下)がありますが、棒状に近付いています。

もしこの通りになるとしたら、2060年以降には自然と解決へ向かうということです。

年金制度問題というのは、一過性の問題だといえます。

f:id:aLa:20140606104241p:plain

整理すると、少子化問題・年金制度の破綻問題というのは、

少子化になっているのは「団塊ジュニア」付近の人達が子供を産まなかった。だから、その世代の人達が年金受給を開始すると制度維持が難しくなる。

ということです。

 

現在の年金問題

2040年に起こるであろう年金問題と、いま起こっている年金問題の原因は違います。

現在の年金問題は、長らく続いた不況が原因です。

 

物価スライド方式にのっとり、延長されていた年金給付額の引き下げが実施されましたが、不況でなければ引下げは不要ですから、これも原因は不景気です。

また、保険料の徴収が思うように進まないのも、不景気のせいと言えます。

 

つまり原因は政策にあり、高齢化はあまり関係ありません。

 

年金制度は1959年に開始されましたが、人口ピークである「団塊世代」が受給開始するまでの間は、割合でいうと常に老齢者が少ない状態でした。

そのため、戦後補償云々を考慮しても、徴収した保険料は余っていたのです。

 

この余剰金は現在も存在し、積立金として投資運用されています。運用は黒字です。

管理・運用状況 | 年金積立金管理運用独立行政法人

:日本経済新聞 

2012年度 積立金の収支決算:前年度から6兆5927億円増加。過去最高の大幅黒字。積立金(時価ベース)の残高は126兆269億円。

:日本経済新聞

2013年運用実績:約18.8兆円の運用益となり、過去最高。

 

よく「年金は半分が国費」と聞きますが、その中には積立金も含まれています。

でもこれは過去の年金保険料の余剰金(余って貯金しているお金)であり、純粋な国費投入は3割ほどです。

 

現在、歳入と歳出はトントンです。

貯金を使い果たせばそれこそ破綻しますから、先を見据えて考えると、積立金は可能な限り投資運用に回し、その分を国費で補う方が安全です。

そのための3割負担であり、現在はまだ国費がなくても自給自足で年金制度は維持できます。

 

特にここまでの高齢者方は、きちんと年金を納め、子供を産み、社会貢献しながら働いてきた人達です。

しかも、現在はその人達が作ってくれた貯金で制度や社会を維持しています。

 

ですから、高齢者に感謝することはあっても、責めるのは根本的に間違っています。

ハッキリ言ってしまえば、今の問題は政府の力不足で起こっていて、未来の問題は団塊ジュニア世代のせいで起こるのです。

 

負担の公平性

25年後に突然制度が立ち行かなくなるわけではなく、2030年頃から30~40年間はじわじわと苦しい期間が続きます。

それはそれとして解決していかなければいけません。

 

しかし、問題を広く捉えすぎるのもよくありません。

年金問題というのは、特定世代の問題です。

 

バブル世代である「団塊ジュニア世代」は大変恵まれた世代です。

お金の有り余る時代に育ち、親のお金で進学して遊びほうけ、苦労せずに就職をして、親の援助で豪華な結婚式を挙げ、親に出してもらった頭金で家を買いました。

二代目三代目になって家業を継いでいる人も多いですが、潰してしまう人も多く、親世代ほど生産的ではありません。

 

平均収入も高く、育児手当ももらっています。

親世代も年金をもらっているので、そのぶん家計は楽です。

親が亡くなれば、親の資産を保険金もろとも相続します。

核家族化が進んいるため、親とは別に資産を築いている人も多く、介護の苦労も知らないまま、相続資産で裕福な老後を過ごせます。

 

2014年現在でいうと、41~49歳の人達です。

 

個別には社会福祉を必要とする人もいるでしょうが、そのあとの「ポスト団塊ジュニア世代」(76世代など)以降は就職氷河期に突入してしまった為、たった1~2歳の差でも、団塊ジュニア世代とは雲泥の差があります。

 

「年金」「消費税」等の大きな括りで語ると本質が見えなくなることがあります。

たとえば、お年寄りの資産を再分配するのも、この世代の資産を再分配するのも、実は同じことなんです。

いずれこの世代が相続するものですから。

 

なぜお年寄りばかりターゲットにされているのか分かりませんが、お年寄りの持つ資産はそのうち相続という形で動きますし、貯金がなくなれば社会福祉で生活を保護しなければいけなくなるので、貯金をもって自立してもらっていた方がいいです。

 

どちらに資産の再分配を行ってもらわなけれないけないとしたら、社会としては、生産人口層(団塊ジュニア世代)に負担してもらう方がいいです。

  

固定資産税をあげる

資産の再分配方法の1つとして、「固定資産税をあげる」というのは手としてあるかなと思います。

 

固定資産税の場合、「低資産層への税率配慮」でバランスをとるなど、細かな調整が可能ですし、資産に流動性を持たせることができますので、有用な策であると思います。

 

個人が土地を買わなくなっても、土地は利用されますし、相続段階で動きがありますから、社会全体にも悪影響は及びにくいのではないかと思います。

 

これが最善策かどうかは分かりませんが、「消費税」や「受給開始年齢の引き上げ」というのは、国民全体に連帯責任をかせるということです。

プラスは個人のものでマイナスは社会負担というのは、公平ではない気がします。