ノモア

no more, no less

年金問題のウソと改善案

※以下数字は全て約数で表示します。

※長いので、結論だけ読みたい方は最後の「改善案まとめ」「改善案のポイント」をお読みください。

 

年金制度の現状 

年金問題で今の高齢者批判をしている方がいますが、間違いです。

年金制度は、大人2人で老人1人を支えればどうにか成り立つ制度であり、

現在の人口割合は[子供13%:大人62%:老人25%]です。

 

厚生年金・国民年金の平成 25 年度収支決算の概要

社会保障の給付と負担の現状(2013年度予算ベース)

いまの高齢者は子供を沢山産んだので、支える人数が十分にいます。

積立金の運用も黒字ですから、今のところ年金制度は安定しています。

 

年金問題」とは?

 年金問題は「バブル世代」の問題 - ノモア

制度として危機を迎えるのは、2030年以降です。

現在40代である第二次ベビーブームで生まれた「団塊ジュニア世代」はあまり子供を産まなかったので、この世代が年金受給を開始する頃に年金資金が不足します。

これが所謂年金問題です。

 

平均受給期間が平均25年間だとすると、2040~2065年くらいが年金制度としては苦しい時期になります。

将来世代の生年別の受益・負担 内閣府

年金問題は、高齢者が減る2070年には落ち着きます。

 

選択してはいけない方法

子供を急激に増やす

年金問題は、ベビーブームによって起こります。

出生数が増えると、その子達が年金を受給する側になる時、資金不足に陥る可能性が高くなります。

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2013/zenbun/img/z1_1_04.gif

また、いま第三次ベビーブームが起こると、長寿化と相俟って人口が急増します。

日本の人口は増え続け、2005年前後にピークを迎えています。

異常なほど人口密度が高い状態であり、国土が狭く、低自給率も低い日本で、これ以上の人口拡大路線は難しいと思いますが、何より、社会保障費が持ちません。

 

年金受給開始年齢を引き上げる

受給できない人や受給金が納付額以下の人が増えるので、不公平感が強まります。

受給開始年齢をこれ以上引き上げたら、実質破綻しているようなものです。

 

年金制度を廃止する

年金がなくなれば高齢者の生活支援は親族が行わなければいけなくなります。

家計が圧迫され、介護問題は深刻化し、貧富の差は更に広がっていきます。

 

癌入院している知り合いは、通常費用25万円/月が3万円前後で済んでいます。

医療費補助がなくなれば、25万円+親の生活費15万円+生活費30万円=70万円/月。

入院が2人なら50万円なので、収80万円、年収960万円以上が必要です。

高齢者にかかる医療費等は、平均所得の世帯で負担できる額ではないので、

制度を維持していく方法を考えるしかありません。

 

生活保護制度と一体化させる

支給額を一律にすると、保険料も一律になります。

それなら消費税を増税しても同じで、低所得者層ほど負担が重くなります。 

 

仕組みの調整(改善案)

公平性の高い改正をするなら、年金受給期間に上限を設けるのがいいと思います。

 

人口割合から考えると、受給期間の上限はおそらく20年です。

65歳から受給開始するなら、84歳までということになります。

具体的には、こんな改善案です。

●年金受給期間は65~84歳までの20年間

●年金額の算出方法は現在と同じ

●財産の無い人は生活保護制度を利用する

●85歳以上で財産のある人には自活する

年金は、10~15年間受給すれば、納付額以上の金額になって返ってきますので、20年間受給すれば十分に「元」をとれます

期間中に「元」以上の金額を支給すればいいだけですけどね。

 

何歳であっても、財産の無い人には生活保護制度がありますから、このように改正しても、現在以上の負担が子供世代に及ぶことはありません。

 

以下で補足説明をします。 

 

高齢者の貯蓄実態

2 高齢者の経済状況|平成26年版高齢社会白書(概要版) - 内閣府

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/gaiyou/img/z1_2_07.gif

 ※こちらは金融資産分布ですが、単身世帯が含まれていません。

補足:統計局ホームページ/I 高齢者の人口

 

上図の通り、高齢者にも貧富の差があって、低資産世帯は増加しています。

約20%が貯蓄500万円以下の世帯で、約43%が1000万円以下です。

低貯蓄層から年金を取り上げたら、家族もろとも生きていけません。

 

お金持ちは誰か

日本の富裕層・超富裕層は81万世帯、その純金融資産総額は188兆円~震災等で規模は減少傾向、遺言等の相続対策が進展~ | 野村総合研究所(NRI)

資産富裕層の大半を占める高齢者

2 高齢者の経済状況|平成26年版高齢社会白書(概要版) - 内閣府

 

日本の富裕層(金融資産5000万円以上)は349万世帯、合計384兆円。

その内、60歳以上の高齢者が占める割合は73%なので、254世帯・280兆円。

64歳までは15%ですから38万世帯・42兆円なので、

65歳以上の資産は216万世帯・238兆円。

60歳以上の情報は細かく出ていないので、人口割合での計算になりますが、

65歳以上の内85歳以上は21%なので、45万世帯・総金融資産50兆円とします。

(85歳以上の金融資産はもう少し多い可能性があります)

 

生活保護受給者

生活保護費の歳出は3兆円で、高齢者は内45%程度。

その中で年金受給している人は半数で、受給平均額は4万5918円。

高齢者に対する生活保護費は、全体の35%くらいになりますから、1兆円です。

 

高齢者の生活保護受給額の平均12万円年金額の平均は16万円(現在)です。

 

ということは?

まず、高齢者の生活保護受給者78万人、85歳以上の富裕層90万人以上ですから、

85歳以上の富裕層に対して、過剰な金銭支援等をやめることで、

65歳以上の生活保護費用を全額捻出できることになります。

 

65歳以上の生活保護受給者で計算しているので、85歳から生活保護受給を開始する人は微増ではないかと思います。

金融資産を84歳までに動かすとしても、社会にお金が回るので他の税収が潤います。

 

高齢者世帯の平均世帯所得は300万円。

85歳以上の富裕層は45万世帯・50兆円ですから、単純計算では貯蓄平均1億円です。

貯蓄1億円は122歳まで自力で生活できる財産です。

金融資産は、預金以外のもの含まれますが、基本的には売却や解約が可能なものですが、20年分の生活費とみても105歳まで自活できます。

 

年金は15年で元をとれるので、85歳以上の富裕層への支援は明らかに過剰です。

 

また、今回増税された消費税の中から、高齢者に使われる費用は1.5兆円です。

過剰な金銭支援をやめれば、この増税分が不要か、他に回せるお金になります。

 

生活保護費は殆どが即消費に回りますから、社会負担は重くありません。

一方、高齢富裕層の貯蓄は、亡くなるまで社会に回らないお金ですから、本当は富裕層の方が社会負担としては重いです。

 

資産税

65歳以上の金融資産238兆円に6%「資産税」をかけた場合、14.2兆円/年の税収になります。

 

90歳までに65%の方が亡くなるので、毎年13%60万人30世帯が入れ替わるとすると、6.5兆円です。

また、85歳以上へ年金給付をやめる場合、85歳以上の富裕層は自活することになるので、世帯生活費が年間300万円とすると、1350億円ずつ金融資産が減っていきます。

 

なので、翌年の65歳以上の総金融資産は、

238兆円-14.2兆円-1350億円+6.5兆円=230.165兆円。

毎年7.8兆円ずつ総金融資産が減る計算で、制度としては30年間維持できます。

 

長寿化に伴って60代以上の金融資産が滞っているため、50代以下の金融資産額は減少傾向にありますが、相続税を考えても年金問題が起こる25年間くらいは維持していける制度だと思います。

 

人口推移予想はあくまでも「予想」

人口ピラミッド: 日本 2015

年金問題を語る上で外せないのが、国が出している「人口推移予想」です。

この「人口推移予想」を元に危機などが叫ばれているわけですが、過去にも推移は外れており、本来これは参考程度のものです。

統計トピックス No.84  統計からみた我が国の高齢者(65 歳以上)

 

将来人口推計(私的試算の資料)

 

2014年の人口割合は、[子供13%:大人62%:老人25%]

[14歳以下 1654万人:15~64歳 7901万人:65歳以上 3189万人]です。

主要な生存率を抜き出すと、

65歳|221万人-1949年生まれ:出生数269万人=生存率95%

74歳|124万人-1940年生まれ:出生数211万人=生存率59%

84歳|80万人  -1930年生まれ:出生率208万人=生存率38%

94歳|13万人  -1920年生まれ:出生率202万人=生存率6%

です。

この合計数のだいたい7.2倍が高齢者の総人口です。

 

国が出している2070年予想の人口割合は、

[14歳以下 13%:15~64歳 50%:65歳以上 36%]

2070年の総人口は9646万人ですから、

[14歳以下 1351万人:15~64歳 4823万人:65歳以上 3472万人]

くらいになります。

 

これを現在と同じ生存率で計算すると、

65歳|98万人-2005年生まれ:出生数103万人=生存率95%

74歳|71万人-1996年生まれ:出生数120万人=生存率59%

84歳|52万人-1986年生まれ:出生率138万人=生存率38%

94歳|11万人-1976年生まれ:出生率183万人=生存率6%

という人口数になります。

 

あれ?と思いませんか。

2014年の65歳は221万人で、2070年には98万人にまで減っているのに、2070年の高齢者数は2014年より多い予想になっています。

 

この変な差の鍵は、『生存率』です。

 

2070年の予想でいうと、おそらく下記くらいの生存率で計算されています。

65歳|98万人-2005年生まれ:出生数103万人=生存率95%

74歳|110万人-1996年生まれ:出生数120万人=生存率92%

84歳|124万人-1986年生まれ:出生率138万人=生存率90%

94歳|155万人-1976年生まれ:出生率183万人=生存率85%

ほとんど不死身の世界ですね。

 

では、現在の割合で計算するとどんな感じになるかというと、

[14歳以下 1351万人:15~64歳 4823万人:65歳以上 1670万人]

[14歳以下 17%:15~64歳 62%:65歳以上 21%]

くらいになると思います。

3人の大人で1人も高齢者を支えていることになりますから、年金制度を維持できる人口割合といえます。

 

2050年

高齢者人数がピークになる2050年頃についても、同じように計算してみます。

 

人口推移予想は人口数9700万人とされているので、

[14歳以下 12%:15~64歳 51%:65歳以上 37%]

[14歳以下 1164万人:15~64歳 4947万人:65歳以上 3589万人]

です。

この割合だと、ほぼ1人で1人を支える状態になっていますから、厳しいです。

 

では、これを現在の割合で計算してみます。

65歳|135万人-1985年生まれ:出生数143万人=生存率95%

74歳|107万人-1976年生まれ:出生数183万人=生存率59%

84歳|51万人-1966年生まれ:出生率136万人=生存率38%

94歳|9万人-1956年生まれ:出生率166万人=生存率6%

高齢者の総人数は2174万人です。 

 

[14歳以下 14%:15~64歳 60%:65歳以上 26%]

[14歳以下 1164万人:15~64歳 4947万人:65歳以上 2174万人]

となります。

 

今の生存率で計算すると、高齢者人数がかなり多くなる2050年でさえ、生産人口が高齢者の2倍以上います。

 

もう1つ分かること

問題は少子化ではないということです。

数字を追っていくと、人口が減少していっても、低年齢層の人口割合はあまり変わっていませんね。

年金制度は人口割合が重要なので、人口数自体はあまり関係ありません。

人口が1億人でも、100人でも、生産人口と高齢者の割合が2倍以上の関係であればいいのです。

なぜなら、年金の支給額はその時々の物価水準などを考慮して決められる

「物価スライド方式」をとっているからです。

 

年金問題は、65歳以上の生存率が格段に上がっていくという予想を条件にした問題なので、今から少子化を解消しても、生まれてくる子供世代が後で辛くなるだけです。

 

2030年以降の財源

厚生・国民年金収支、24年度は黒字 後納制度、運用収益も貢献:株/FX・投資と経済がよくわかるMONEYzine

平成25年度年金積立金全体の運用状況について

今のところアベノミクスのおかげもあって年金制度はそれなりに上手くいっていますが、生存率は一定ラインまでは徐々に上がっていきますから、現在の生存率で計算するのも危険です。

新たな財源は考えた方が良いと思います。

 

では、どのくらい不足する可能性があるか計算してみます。

 

年金支出推移では、2050年の年金収入は43兆円で、積立金から15兆円を追加するとして、総額58兆円です。

支出は83兆円との予想ですが、現在の人口割合で出した2174万人だとすると、予想の61%ほどなので、50兆円です。

 

収入58兆円-支出50兆円=+8兆円、です。

 

でも、これは現在の生存率で計算した場合です。

もう少し生存率を上げて、

[14歳以下 1164万人:15~64歳 4947万人:65歳以上 3000万人]

とした場合を計算してみます。

 

65歳以上の人口予想の84%になるので、支出69兆円です。

収入58兆円-支出69兆円=△11兆円、です。

 

あくまで予想ですから、これ以上やこれ以下の場合もあるわけですが、庶民の丼勘定でいえば、375兆円(15兆円×25年)くらい余裕が欲しいなと思います。

  

先ほどの計算で、消費税増税から1.5兆円が浮き、資産税により14.2兆円が捻出できると分かりましたから、トータル15.7兆円の余裕があります。

この場合でも財源があることになります。

不足する場合は、資産税で調整できます。

  

改善案まとめ

●年金受給期間の上限は20年(65~84歳)

●年齢に関わらず、資産の無い方は生活保護を受けれます。

 

受給期間を20年間としても、十分に納付額以上の受給金が返ってくる制度ですから、誰も損をしません。

 

財源について

・85歳以上の富裕層へ金銭支援(年金など)をやめることで、

 65歳以上の生活保護費を全額捻出できます。

・65歳以上の富裕層世帯へ6%の「資産税」をかけることで、

 14.2兆円の税収が生まれます。

・消費税増税分から社会福祉費として使われる予算は1.5兆円なので、

 この増税分を利用できます。

 

改善案のポイント

不確かな数字が多いので、こうすれば必ず大丈夫というわけではありません。

そもそも、富裕層がどれくらい年金受給しているか分かりませんしね。

でも、年金問題は、制度特性を踏まえると糸口が見えてくるかもしれません。

 

年金制度の特性は、

●受給資格がある人は、生きている間ずっと年金を受給できる

●加入する年金タイプによって、年金受給金額が変わる

などです。

 

国民年金の場合、年金だけでは生活できないので、生活保護で不足分を補います。

しかし、生活保護は年金分を差し引いてしまうので、生活保護の上限額までしか受給できません。

だったら最初から国民年金保険料を支払わない方が得だと感じる人が出てきます。

義務ですから年金保険料は必ず払わなければいけませんが、制度の欠陥でもあると思います。

 

また、国が年金受給期間を上限でなく下限で調整しようとしているせいで、長生きが悪いことのような印象を国民に与えていると思います。

介護問題などもありますから、年金資産だけでは長寿の是非を語れませんが、少なからず、年金受給期間に上限を設ければ、受給開始年齢の引き上げや受給額の引き下げは必要ありません。

結局、受給期間を狭めることが目的であるのは同じですから。

 

なのに、国は支給開始年齢や給付額の調整しか視野にいれていません。

そのせいで、富裕層以外は得をしない制度になってしまっています。

 

見ようによっては、弱者同士を戦わせ、問題の本質から目を逸らそうとしているように感じなくもありません。

 

何でもかんでもお上批判をする他人任せの論調に嫌気がさす時もありますが、年金問題については、国民はかなりバカにされている気がするので、怒っていいところだと思います。

 

そもそも、年金制度を作ったのは国ですし、経済低迷を放置してきたのも国です。

その負債をマス層やアッパーマス層への負担を増加させることで解消しようというのは、あってはならないことだと思います。

 

年金は15年で十分に「元」(納付額)以上を受け取れますから、受給期間を65~84歳の20年間としても、誰も損をしません。

85歳以上の富裕層への金銭支援は過剰な保護行為です。

 

また、65歳以上の富裕層に対して、金融資産に対して資産税を数%設けることで、高齢者人口のピーク時でも、年金制度を維持していけるようになります。

 

金融資産が富裕層に堰き止められていることにより、貧富の差は広がるばかりです。

適切な税を設け、きちんと社会全体にお金が回るように再配分をしなければいけないと思います。