過去に幾つか統計データなどを用いた考察をしています。
考察を交えているので、文章としては長いですが、特に下の2つはあまり世間では言われない部分について書いているので、自分の中でも参考にしていきたいデータが含まれています。
データを用いる時に大事なのは、
年次推移ならできるだけ長期のものを、犯罪数の推移なら他のデータと共に、
参照する方がいいです。
たとえば、
減る少年事件、減る凶悪事件が導く監視社会ってどうなんですかね | プレタポルテ by 夜間飛行
こちらで少年凶悪事件が減っていると言っていますが、加害者が未成年者であるか、被害者が児童であるかは、別の問題ですよね。
全般敵に言えることですが、気をつけたいのは人口数です。
こちらに「幼児他殺被害数」という図がありますが、昭和22~30年、昭和50年の2箇所で犯罪数が増えていることが分かります。
理由はシンプルで、人口数が多いからです。
昭和22~は第一次ベビーブームの団塊世代、昭和50年は第二次ベビーブームの団塊ジュニア世代です。
比率を出して下さっているデータもあります。
人口数がある一定以上増えると、割合を越えて犯罪数が多くなるのは他の犯罪でも一緒で、似た波形になります。
しかし、それ以外は概ね人口数に比例していることが分かります。
上図の「強制わいせつ」のように、大抵の場合、H8年以降、特にH15(2003年)前後は犯罪数が多くなっています。
これも人口数に伴った結果です。
性犯罪は、犯罪を起こしやすい年代がある程度決まっているので、加害者の特性を割り出しやすいのですが、人口数が多い世代が、その犯罪を起こしやすい年代に差し掛かると、性犯罪数は増えます。
こちらで説明していますが、強制わいせつの場合は、20代~30代の犯行が多いです。
H15前後は今から約10年前なので、現在30代後半~40代前半の人が加害者であったわけです。
そして、現在30代後半~40代前半なのが、先ほど挙げた「団塊ジュニア世代」です。
グラフにしても推移が一致します。
団塊世代と団塊ジュニア世代は共に人口数が多いですが、大きな違いが1つあります。
それは、子どもをどれだけ産んだかという違いです。
団塊世代の85%くらいが子供を産んだのに対し、団塊ジュニアは60%以下です。
団塊ジュニアは子供をあまり産まなかったので、幼児殺害数が少ないのです。
少年犯罪データベースドアさんは団塊世代を批判してしまっていますが、人間性に違いはありません。
次に、児童が巻き込まれる犯罪は本当に減っているか見てみましょう。
(図II-18 子供(13歳未満の者)の被害件数等の推移(平成15~24年))
(図II-19 罪種別子供(13歳未満の者)の被害件数の推移(平成15~24年))
下の図で、緑で名称を囲んだ箇所が、人口増減を省き、長期でみた時に増加しているものです。
強姦・暴行・傷害・強制わいせつ・公然わいせつ・強盗が増加しています。
これを見る限り、「略取・誘拐」は細分化されているので、凶悪犯罪で顕著な現象傾向にあるのは「殺人」です。
強姦・暴行が増加しているので、犯罪の質が軽くなっているとは言い難いです。
逆に、「虐待は減っている」と主張したい場合は、あえて「殺人」件数のデータを使うのが効果的かもしれません。
私は、殺人だけが虐待だとは思いませんが。
少年犯罪についてはまだ調べたことが無いので、そのうちデータから考察してみたいと思います。