ノモア

no more, no less

妊婦に『傷病手当金』を

aLa - 『田母神俊雄さんはTwitterを使っています: "女性は子供…』 へのコメント

なんか得があるから雇うわけで、損だけ抽出するのはダメでしょ

2014/10/25 01:09 にブックマーク

 

女性が妊娠をしたり、産休をとる可能性があることぐらいは分かっていますよね。

その上で雇っているわけですから、会社側に何か得があるから女性を雇っているわけです。

賃金、能力、向き不向き、そもそも求職者の大半が女性であるなど。

そういった得の部分を度外視して、損だけ語るのは不公平です。

 

でも、ただ女性が優遇されれば良いというわけでもないと思います。

 

田母神俊雄氏の女性蔑視ツイートの背景にある世界最悪レベルの日本社会の女性差別意識と女性差別雇用・賃金(井上伸) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

こちらで反論を読みました。

確かに国によって差はありますが、どんな風土や制度を望むかについては、個々人の事情によるので、違いがあるから悪いとまでは言えません。

 

「母親業はもっと評価されるべき」と考える人もいれば、

「未婚未出産の選択をしやすくするべき」と考える人もいますし、

「子育てしながら家計の足し程度に働きたい」という人もいます。

親との同居が死ぬほど嫌って人もいるし、同居を望む人もいるし、介護中の人もいます。

 

それぞれ必要とする改革が違いますから、側面的な結果だけで判断することはできません。

 

例の裁判

この話題の大元である裁判の話ですが、要約すると、

妊娠をした女性が、軽作業を行う部署へ移動願いを出したところ、管理職を外されてしまった。女性はこれを不服として訴えを起こした。

というものです。

 

労働基準法を元に考えると、

●妊娠を理由に軽作業部署へ移動願いを申請することは権利として認められている。

●妊婦に申請されたら会社側は受け入れなければいけない。

●しかし、新たに部署等を新設してまで対応する必要はない。

●労働者にとって不利益になる労働条件の変更を行う場合は、労働者の同意が必要。

●移動等が慣例的である場合は、会社側の裁量で行える。

 となります。

 

1・2審は、

移動先の部署には既に管理職についている者がいて、管理職人材は足りていた。また、一般職となることに女性は同意した。なので、会社側が女性を管理職から外したことは不当な降格とはいえない。

として、女性側の訴えを退けました。

 

1・2審は、同意性と慣例性を重視したことになりますので、会社側が嘘をついていなければ、この判決は妥当なものだと思います。

 

しかし、最高裁

「電話で一方的に降格を告げられただけで、同意はしていないと主張している」

として、女性側の訴えを認めました。

 

そう、この裁判の焦点は、「同意性」です。

最高裁は、会社の言い分に信用できない部分があるとして、女性側の主張を認めたのです。

 

この裁判を性差別問題やマタハラと認識している人が少なくないようですが、どちらかというと一般的な違法企業裁判です。

 

一応、女性の状況は考慮されていますから、どっちでも同じじゃないの?と思うかもしれませんが、同意なしに不利益な労働条件の変更をされたら、男性でも訴えを起こせます。

基本的に性別は関係ありません。 

 

女性と企業

労働者からすれば、「産休」「時短労働」「部署移動願い」は大差ない権利だと感じるかもしれませんが、会社側からみると全く違います。

 

産休の場合は、会社側の負担はありません。

時短労働の場合は、労働量の変化にあわせて雇用条件を改めることができます。

しかし、妊婦の場合は、部署移動を申請されたら会社は拒めないだけでなく、原則、それに伴った雇用条件の変更もできません。

 

同意が必要という点では、時短労働も部署移動も同じですが、時短労働の場合は直接的に労働時間が関わってくるので、折り合いが付きやすいです。

でも、妊婦の部署移動は、労働力としては低下するけど、出社できないわけではないので、合意が難しくなります。

労働者から、「労働力が下がった分の能力給をカットしてください」とは言いませんよね。

 

時短労働で、労働力が半分になるから給与が半額になるというのは、賃金基準を考える上では公平です。

でも、妊婦の場合は、労働力が半分になっても、給与を半額にできません。

 

会社にとっては小さくない負担であり、特に管理職のような能力給が乗る立場であった場合、実態と報酬額のバランスがとても悪くなります。

能力のある一般社員からしたら、能力の足りない人が能力給をもらっていることに不公平感を覚えますよね。

給与は労働対価ですから、そういった不満は筋が通っています。

 

妊娠や育児を理由に解雇されたり、できる仕事から外されるのは差別であり、問題です。

しかし、能力が伴わない者が能力給をもらっている不平等については、妊婦でもその他でもおかしいです。

 

改善案

無条件に受け止めさせるというのは、さすがに会社側の不利益が大きすぎて可哀想です。

というか、これは大企業じゃないと無理なので、たぶん守られていませんよね。

 

だからといって、妊娠したら解雇して良いなんてことにしたら、シングルや未婚者はたまったものではありません。

男女不平等の極みであり、バッシングの末に日本終了しかねません。

 

ですから、この二択以外の選択が必要です。

 

そもそも、労働力が下がっているのに、なぜ労働条件の変更について、「不平等だ」という不満が生まれるのでしょうか。

労働対価なのだから自然なことであり、理詰めで考えると、不平等な要素は見当たりません。

 

おそらく、ここでいう不平等とは、男性との格差です。

男性はパートナーが妊娠しても職務上のデメリットを負いませんが、女性はそれまでの生活を変えなければいけません。

 

以前、男性に中絶罪を - ノモアというのを書きましたが、男女のリスクというのは自然には埋まりません。

どんなに合意性のある自由恋愛であると主張しても、女性からリスクは消えません。

法律など人工的な手段で責任を分配するしかないので、妊娠問題についても、女性側の言い分はよく分かります。

私も女性ですしね。

 

ただ、相手に問題があるからといってヘイトスピーチがダメであるように、弱者だから行き過ぎた権利主張をしても仕方がないんだという意見には賛同しかねます。

痛みの経験が、他者の痛みを理解して助けるための知恵にならないのであれば、それは生まれ持ってのハンデにしかなりません。

相手に善意を求める時は、自分も善人であるように心がけなければいけないのです。

 

私は、この問題につて、部署替えの権利を廃止し、『傷病手当金』の対象を拡大する方が良いのではないかと思います。

 

病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

 

傷病手当金』は、働く意思はあるけど病気・ケガ等によって働けなくなった人に対して、1日辺りの日当報酬「3分の2」(給与の6割程度)を、3日以上から1年6ヶ月間まで保証してくれる制度です。

保険なので、『出産手当金』と似ていますよね。

 

受給資格は、通算1年の健康保険加入です。

(健康保険の扶養者や、任意継続被保険者は受給できません。国民保健も実質対象外です)

 

傷病手当金』は、今でも受給資格を持つ妊婦の一部に適応されています。

通院治療や入院が必要なケースです。

 

産休中は『出産手当金』がもらえるので、この手当金はもらえませんが、妊娠中の治療は対象範囲に入っています。

(出産手当金をもらわず、傷病手当金で治療することは可能です)

 

会社は、『出産手当金』同様に、傷病手当金』について一切負担しません。

サポートは手続きだけです。

 

現在の限定的な対象範囲を、部署替えを必要とする身体状態の女性へ適応拡大することは、概念的には難しくないと思います。

それまでの仕事ができない状態になっているということですから。

 

広義的には社会負担ですが、保険料を払ってきた人が受給できるというだけです。

通算1年の加入で受け取れるため、少々不公平な気がするかもしれませんが、確か条件上限があったと思います。

 

また妊娠の場合、おそらく平均受給期間は半年くらいです。

時期など見計らって申請するなら、もっと短いケースもあると思います。

『出産手当金』と連続受給になるので、支出としては小さくありませんから、妊娠による『傷病手当金』の場合は、世帯所得に応じて上限額を定めてもいいかなと思います。

治療費などの出費があるわけではありませんからね。

 

これは妊娠祝い金ではないので、妊娠したらもたえるお金ではありません。

あくまでも、部署替えを必要とするような状態なら、部署替えではなく『傷病手当金』で休職できるようにした方がいいのでは?というものです。

 

これなら、会社負担がないので、労働力補てんがしやすくなり、同僚への皺寄せも改善可能になります。

その方が同僚も純粋に妊娠を祝えるでしょうし、妊婦自身も居心地が良くなると思います。

 

全ての人に有効な万能薬はありませんが、この制度は女性に与えられた特権の一つになると思います。

男性に損を与えなくても、女性が得をすることで相殺できるものもあるのではないでしょうか。

 

妊娠休暇

妊婦を『傷病手当金』の対象範囲に含める場合、『妊娠休暇』という制度が必要になってくると思います。

 

部署移動の権利と入れ替えるための策なので、遣り甲斐やキャリアアップ、流産や未婚の場合など、『傷病手当金』だから不利益を被るということは無いと思います。

条件としては、部署移動で継続勤務していくのと変わりませんからね。

 

流れとしては、『妊娠休』→『産休』→『復帰』となりますから、第一線から離れる時間は増えますが、それも部署移動と同じです。

 

労働力が下がっているのに全額を求めるのは権利の濫用ですが、解雇ではシングルや未婚者は困るので、間をとるならこのくらいが丁度良いのではないかと思います。

 

お金の流れを計算していないので、これが最善策かどうかは分かりませんが、会社側にだけ負担を押し付ける制度では、中小企業は取り入れることができません。

運用されない制度なんて、あっても意味がありませんし、何より、裁判費用を捻出できる人は良いですが、それ以外の多くの人は水面下で不当な扱いを受け、泣き寝入りさせられてしまいます。

そもそも、移動部署が存在しない小規模企業では申請さえできません。

そういった人達は、我慢して働いているか、自己都合退社させられていることでしょう。

 

派遣社員として働いている人も、どうしているのでしょうね。

こんにちは。私は今妊娠3ヶ月で、派遣社員として働いてます。それなんで... - Yahoo!知恵袋

派遣に詳しい方、教えてください。妊婦の派遣社員(お悩み掲示板@ミクル)

 

幾ら違法だと訴えても、民事ですから、低所得者には裁判費用を捻出できません。

小規模企業で働く人の方が不当な扱いを受けやすいのに、訴えを起こせない人も多いです。

 

現制度は、女性の権利を守っているようでいて、実際は大手で働くような一部の女性だけを助けるもので、むしろ、それ以外の中小企業や派遣で働く大多数の女性に対しては、冷たい制度になっているのではないかと思います。

 

特定の誰かではなく、全ての人が不平等を強いられない制度作りが必要だと思います。