こちらは養育費について掘り下げているわけではありませんが、よくある誤解が混ざっているなと思います。
子育て費用の目安というのを見てみると、
●幼稚園から高校まで公立=573万円
●幼稚園から高校まで私立=1681万円
となっています。
「子育てはお金がかかる」という印象を持つのは分かりますが、生涯養育費は一気にかかる費用ではありません。
月平均でいうと、
●幼稚園から高校まで公立=2万943円~4万3,375円
●幼稚園から高校まで私立=4万4,867円~10万5,782円
となります。
夫婦共働き世帯の内訳例を以下として考えた場合、
●夫の年収500万円
●妻の年収120万円
●1ヶ月の基礎生活費15万円
●その他費用として1ヶ月15万円
世帯年収620万円の世帯で、1ヶ月の生活費は30万円になります。
年間の生活費は360万円ですから、年間260万円貯金可能です。
児童手当の所得制限は、子供1人で660万円(収入目安833万円)、2人で698万円(収入目安917万円)です。
3歳未満までは1万5,000円なので年間18万円、それ以降はほぼ1万円なので年間12万円の補助を受けることができます。
児童手当を考慮した各年代の月額費は、
<幼稚園>5,000円~3万円
<小学校>1万7500万円~10万円
<中学校>3万円~9万5,000円
<高校>4万3,000円~8万6,000円
です。
毎月10万円養育費がかかったとしても、年間で120万円ですから、140万円貯金できることになります。
大学進学までに17年間あるとしたら、貯金額は2380万円。
計算上、児童手当の産出額は妥当性の高い金額だと思います。
問題になるのは、世帯所得が平均を下回る世帯と、子供が3人以上いる世帯です。
そういった世帯への必要支援を混合して語っている人が多いように感じます。
子供が2人いる家庭では、最大養育費が月20万円になります。
貯金額は年間20万円程度しかないので、2人とも大学へ通わそうと思ったら、進学ローンが必要です。
進学ローン自体は問題ではありませんが、車を所有すると余裕がない状態です。
やりくりすれば赤字にはならないので、子供2人育てる場合のボーダーラインはこの辺りだと思います。
子供3人は難しいです。
最低養育費の場合、子供1人育てる世帯年収のボーダーラインは420万円です。
軽自動車くらいはないと不便だとすると、年間維持費は25万円くらいですから、世帯年収は450万円くらい必要になります。
妻が月10万円稼げているなら、夫の年所得は330万円。
夫の時給は1,500円以上でないと厳しいということです。
夫婦で月収25万円ずつ稼いでいる場合は、世帯月収が50万円です。
世帯年収600万円なので、子供2人までは育てられると思います。
夫婦で月収30万円ずつなら、世帯年収は720万円。
ボーナスが×2あったとすると、840万円ですから、3人でも大丈夫でしょう。
ただし、世帯月収が30万円から1万円でも増えると、児童手当の所得制限(3人の場合:736万円)を超えてしまいます。
児童 手当がもらえないと、3人の場合は年間36万円~54万円入ってこなくなるので、所得感覚は600万円代の世帯と同じくらいになります。(下方666万円)
子供が3人の場合は一般車になると思いますが、年間維持費は45万円くらいです。
年間の貯金可能額は20万円程度なので、車を所有した時点で赤字になります。
夫婦の月収が33万円以上であれば、世帯年収792万円以上になるので、やりくりできると思いますが、子供3人の世帯で共働きしている家庭は多くありませんよね。
そうなると、旦那1人分の年収が720万円以上ないと辛いということになります。
平均所得世帯の場合、子供1人目まで児童手当がなくても養育していけるはずです。
子供が2人になると、児童手当がないと厳しくなります。
子供が3人以上はかなりハードルが高くなります。
子供が増えれば、住宅事情なども出てきますしね。
では、これを税金でどうにかできるかというと、平均年収を500万円の場合は、年間250万円ほどの補助金を出さないといけなくなります。
アルバイトで生計を立てている人よりも高い額ですから、到底無理です。
生活保護の平均額よりは低いですが、社会保障費で賄うなら高税化するしかないので、所得も大幅に減ります。
そうなると、痛みのわりにトータルして本当に補助になるかどうか疑問です。
日本の場合、既婚者の多くが2人子供を育てていますので、現状維持がベストです。
ちなみに
少子化を危惧する人達がいますが、経済は、1人が100万円を使っても、100人が1万円ずつ使っても、基本変わりません。
どちらにも一長一短ありますから、社会の状況にあわせてシステムを考えていくしかありません。
社会保障費の問題は、人口数ではなく、人口バランス(割合)が重要です。
「年金破綻」というのは、人口数の多い現40代(団塊ジュニア世代)が、子供をあまり産まかなかったので、その人達が年金受給を開始する時に起こる問題です。
でも、それも2070年には人口バランスが戻って落ち着きます。
2070年にはその人達が殆どが亡くなるからです。
現在、日本の人口は、第一次ベビーブームで生まれた「団塊世代」と、その子供である第二次ベビーブームで生まれた「団塊ジュニア」がいるので、ピーク状態です。
かなりの人口過密状態です。
人口過密状態では、犯罪率が増加したり、労働条件や生活の質が下がるなど、様々な問題が起こります。
いずれ苦しい25年間はやってくるので、そのために、
のような、改革は必要になると思います。
しかし、「年金破綻」「少子高齢化」「人口減少」などが問題になるのはもう少し後の話であり、それも一時期を過ぎれば解決していきます。
少なからず、第三次ベビーブームでは解決しません。
「年金破綻」というのは、ベビーブームで生まれた子供達が高齢者になる時に起こる可能性が高い問題であり、その状態で制度を維持していくには、同じ人数以上の子供を産み続けていかなければいけません。
それは、借金・問題を先送りし、子供達に押し付けるのと同じです。
それぞれの問題に対して、どうやって苦しい時期を乗り越えるか、知恵を出し合っていく必要があります。
でもそれは、維持可能なものでなければいけません。