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「日本の福祉危機」を欧州に学ぶ

スウェーデンの歴史

スウェーデンの犯罪と福祉

スウェーデン型の「経済を強くする社会保障」を考えよ | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉:日経BPオールジャンルまとめ読みサイト

スウェーデンは、20世紀初頭にかけて産業化が進みました。

農村から都市へ人口が移り、村落共同体が持っていた地域の相互扶助機能が薄れていきました。

経済成長に伴う労働者不足によって女性の社会進出がすすむと、離婚率が上昇し、家族という相互扶助機能も衰退していきました。

 

そうして個人化が進むと、 犯罪率が上がりました。

犯罪率の上昇は、高福祉化の流れに比例しています。

少年犯罪についても、強制収容施設少年の4分の3が欠損家族の出身となっています。

 

日本人の中には、欧州の高福祉化を理想として掲げる人がいます。

でも、高福祉社会の実態は責任放棄の流れであり、今や「子供はストレスの元」「家庭崩壊の原因は子供」と言う親達もいます。

 

福祉国家は犯罪率が高くなる

暴動で明らかになったスウェーデンの移民問題 - 市民メディア[レアリゼ]

福祉社会には、移民問題も起こります。一定の生産人口数が必要になるからです。

労働移民に関連したトラブルは多々あります。

移民自体に問題があるというより、副次的なトラブルが増加するためで、日本が高福祉化を考える時にも考慮しなければいけません。

 

スウェーデンは、犯罪については様々なアプローチを試してきましたが、罰則を強めても、緩めても、治療に力を入れても、効果は得られませんでした。

今のところ、カウンセリング等による罪抑止や更生は期待できない状態で、薬物治療等によって強制的に個性を操作してしまうことにも道義的問題があるようです。

 

1999年以降は、更生を主な目的とせず、功利主義の視点から、応報主義的罰則観によって罰を与えることに重きをおいています。

「罪を犯したら痛い目にあって当然」という、シンプルな懲罰形式です。

 

これだけでは犯罪を減らすことはできないので、環境改善もすすめています。

「犯罪が起こりやすい環境を改善することで犯罪率を下げる」という考え方です。

 

在スウェーデン日本国大使館

外務省 海外安全ホームページ|安全の手引き 在スウェーデン日本国大使館

しかし、それでもスウェーデンの犯罪率は未だ増加傾向にあり、日本の13倍です。

 

アノミー」という概念を提唱した社会学者のデュルケムは、この問題の解決策は「小さな諸区画」の回復だと示唆しています。

「小さな諸区画」とは地域や家庭などのことで、政策や罰則は、そういった中での相互補助機能ほど犯罪抑止効果を持たないからです。

 

私は「村社会」が苦手なので、相互扶助機能が復活しても救われませんが、社会単位でみた時の解決策としては考慮した方が良い要素です。

 

アノミー:あるていど成熟した社会では、若者を中心に道徳や社会規範意識が薄れていき、無秩序になっていきます。そのなかで個人の欲望が肥大していき、社会全体が混沌としていきます。これは社会の解体期に起こる現象とされていて、オランダのドラッグ問題(自由権利の拡大運動)などはこの流れを辿っています。

 

自由権利」の獲得は素晴らしいことですが、必ず相反する意見も存在します。

権利拡大によって新たな問題が生まれることは多々あるので、社会問題と嗜好問題は分けて考える方が良いです。

 

少子化対策」では日本の問題は解決しない

 スウェーデンと日本の流れは似ていますが、重要な部分で違いがあります。

 

1つは、未婚化の内容です。 

日本の場合、「少子化」は「晩婚化」によるものであり、「晩婚化」は「多様化」によるものです。

既婚者の多くは平均2人ほど子供を育てており、3人目以降は住宅事情など物理的問題も出てくるため、少々の金銭支援をしても多産化しにくいです。

 

物理問題を解決するためには、高齢者に対する生活保護費の3倍以上は必要になるため、子供の数が増えるほど財政は厳しくなり、社会が子供を歓迎する理由が薄れます。

 

日本の少子化は、既に子供がいる人達へ支援をしても解決しないということです。

晩婚化対策の方が効果はありますが、多様な生き方を認めることは人権問題として重要で、結婚しない、出産しない、という人生も選べる社会でなくてはいけません。

 

夫婦別姓論議・なぜ「スウェーデン」は語られないのか | 日本政策研究センター

スウェーデン少子化問題は、婚外子の増加によって改善しつつあります。

しかし、半数以上は入籍をしていないだけで、パートナーと子育てをしています。

疑似家族形態は人の入れ替われりが早いため、相互扶助機能までは期待できませんが、ひとりきりで子育てしている人が多いというわけではありません。

 

平成23年度全国母子世帯等調査結果報告|厚生労働省

一方、日本のシングル家庭で、家族以外と同居している人は12%しかいません。

海外を真似て婚外子を増やしても、育児放棄など新たな問題が生まれます。

それを社会福祉だけで解決している国は今のところありません。

 

日本の少年犯のシングル家庭割合は28%です。

スウェーデンの75%よりは低いですが、日本の「ひとり親世帯」は男女併せても3%程度なので、割合としてはとても多いです。

婚外子政策を求める時には考慮すべき課題です。

  

もう1つの違いは、人口数・密度と自給率 

現在、日本の人口は多く、人口過密状態にあります。

 

アイスランドは人口30万人ほどの小国で、たいへん治安の良い国です。

なぜ治安が良いかというと、村社会気質で相互扶助機能が働いているからです。

また、厳しい移民規制政策をとってきました。

歴史をみても、治安と人口数・移民割合は密接な関係にあります。

実際、アイスランドでさえ移民規制を緩和すると犯罪率が上がりました。

 

犯罪率は概ね人口割合にそって推移しますが、日本でも人口が多い時期は犯罪率が高くなる傾向があります。

特にこれからの日本は、人口は少ない方がメリットが多いので、現在の半分くらいまで減った方が良いです。

 

日本は何位?世界のランキングいろいろ | マイナビニュース

世界の食料自給率

スウェーデン基礎データ | 外務省

人口減少を歓迎する理由の1つは、日本の自給率の低さです。

カロリーベースではなく個々の自給率をみると、

スウェーデン自給率は、穀物120%、エネルギー66%くらいありますが、

日本は、穀物26%、エネルギー6%程度しかありません。

 

日本の主な輸出入品 | JFTC キッズサイト | JFTC - 一般社団法人日本貿易会

日本の輸出は「自動車-14.9%」に支えられています。

主な輸出国はアメリカと中国ですが、部品等を輸出して海外で製造し、完成したものをアメリカへ売る、という流れがあり、産業の空洞化を意味しています。

 

輸入は、「石油-17.5%」や「LNG液化天然ガス)-8.7%」などエネルギーが占める割合が高いですが、食料でも高くなっています。

<食料輸出入>輸出額:4,358億円(0.6%)、輸入額:6兆4,629億(8%)

 

自給率や貿易収支は他国との比較だけでは判断しきれない部分がありますが、エネルギーと食料は「生命維持資源」であり、日本でこれが著しく不足しているのは事実です。

 

日本は貿易大国ですが、輸出入の内容があまり宜しくありません。

新興国が更に成長していけば、危うい立場になっていきます。

 

これから都心集中化に伴って、地方の過疎化が進みます。

地方の過疎が進むことで自給率は更に下がり、輸入依存が強まっていきます。

輸入依存が強まるということは、外貨を積極的に獲得していかなければいけないということです。

 

これまでは、借金といっても、国民に使うためのお金を国が国民から借りている状態でした。

全く問題がないわけではありませんが、他国と比べれば悪質な借金ではありません。

しかし、自給率がもっと下がっていくと、外国に対する借金へと変わっていきます。

借金を減らすには、外国から買い物をするための資金を集めなければいけません。

 

日本の輸出資源は縮小していくので、グローバル企業を支えながら、新たな産業を開拓して経済成長していく必要があります。

アベノミクスでやろうとしてきたことは、それです。

 

経済成長できなかった場合、生産者に該当しない消費者は社会負担になります。

社会負担の中身は、高齢者だけでなく、子供も含まれます。

 

もう出生数より経済成長の方が重要

 「少子化問題」は、広くいえば社会保障問題ですが、社会保障自体は国費で負担するものなので、国内経済が安定していればさほど問題ではありません。

人口数が大きな影響を与えるのは、社会保障の中の「年金」です。

 

年金問題」の話は長くなるので割愛しますが、ポイントは、25年後の25年間に起こる問題という点です。

団塊ジュニア世代」辺りが、年金受給を開始して、亡くなるまでの問題です。

 

永遠に続く問題ではなく、いまベビーブームを作らなければ、2070年には人口割合が低水準で安定し、自然と解決していきます。

 

スウェーデンでは積極的に少子化対策を行ってきましたが、それでも高出生率時代の水準に戻すまで25年間かかりました。

今もまだ波はあり、本当はその波がよくないのですが、とりあえず高出生率の年が増えています。

 

日本でも同じように少子化対策を始めたとしても、子供達が生産人口層となって納税者になるのは50年後です。

日本の「年金問題」は、25年後から25年間続く問題ですから、50年後には自然解決に向かっています。

奇跡的に40年後くらいに回復の兆しが見えたとしても、ベビーブームのデメリットを相殺できるほどの得ではありません。

 

可能性としては低いですが、たとえば5年後に第三次ベビーブームが起きたとします。

それならば、「年金問題」真っ只中の30年後の年金財源はどうにかなるかもしれませんが、同時に、その30年間に増幅する社会保障費問題等の課題が生まれます。

 

文部科学省へようこそ

一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移 : 財務省

国の予算は約50兆円ですが、そのうち5.4兆円が文部科学省予算になっています。

これ以外に、児童手当や出産手当など様々な福祉費も加わります。

おおよそ10兆円として計算すると、子供が3倍なら30兆円です。

国家予算の約60%を占めることになります。

 

国の借金の残高はどれくらい? : 財務省

それを国債20兆円で補うとしたら、30年間で600兆円です。

日本の国債総額は780兆円なので、600兆円はかなり大きな額です。

子供の増数を倍程度に抑えたとしても、10兆円ほどの借金追加が必要ですから、30年間で300兆円です。

これはとても無理です。

 

こういった借金依存の強いやり方で良いとしたら、そもそも子持ち女性の社会進出って必要なの?って話になってしまいます。

その借金で起業や産業成長を助けていく方が経済成長しやすくなるからです。

経済成長して、その恩恵で経済安定をはかる方が、雇用も安定していきます。

 

これからの日本にとって「少子化対策」の必要性は低いので、できるだけ「経済成長」と「資産・所得の再分配」に注力していく方が良いです。

出生数については、経済成長していく中で、自然に推移していくのがベストです。