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竹中さんへの誤解バッシングにみる「ブログメディア」の課題


竹中平蔵氏が「朝まで生テレビ」で非正規雇用について熱弁 - ライブドアニュース

私は朝生を観たので、この記事を読んだ時、誤解を招く表現じゃないかな・・・と心配になりました。

 

そして、やはり大きな誤解が生まれました。 


竹中平蔵パソナグループ会長の「正社員をなくしましょう」発言と派遣法改正案の関係(佐々木亮) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

ブコメも含め、竹中さんに対して大バッシングが行われていますね。

問題とされている竹中さんの発言は以下です。

「(実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱね言わなきゃいけない」

 

竹中さんはパソナ派遣の人なので、正社員を減らして派遣が増えれば得をします。

ですから、この発言は自分への利益誘導を行う「ステマ」ではないか、という陰謀論が出てきて炎上したようです。

 

しかし、この発言の意味は逆に近いです。

 

竹中さんは、同一労働同一賃金について「賛成」の立場です。

同席していた民主党・辻本清美さんも「賛成」の立場です。

自民党・山本一太さん含め、同一労働同一賃金について、反対している人は誰もいませんでした。

 

ただ、自民・山本議員いわく、現在は正社員と非正規社員の行っている仕事に明確な差がないため、公平な判断基準も曖昧で難航しているそうです。

 

一方で、民主・辻本議員は「同一労働同一賃金にすべきだ!」という理想論を語るばかりで、その具体案もデメリットも、何も示せていませんでした。

 

一般的な感覚では「正規と非正規の格差を埋めれば良いんだから、判断基準なんて難しくないだろう」と思うかもしれませんが、それだけでは、正社員が減ったり、正社員の待遇が下方修正されてしまいます。

 

竹中さんは、

「中小企業では正社員の立場も弱く、ブラック企業が横行していることは、私も認識しています。それには他の対策が必要です。しかし、大手企業では正社員を解雇しにくい状態にあるため、非正規雇用がすすんでいる実状があります。ただ正社員と非正規社員の差を埋めるだけでは、正社員が減って非正規雇用化してしまいます」

というようなことを言っていました。

その通りだと思います。

 

非正規は、女性と男性の一部(25歳以下と60歳以上)で多いです。

25歳以上の男性生産人口における非正規率は、実は「1割程度」です。

非正規は地方の方が多いので、首都圏ならもっと下がります。

 

非正規問題は晩婚化の理由としても語られることがありますが、結婚適齢期のサラリーマン男性は「8割以上」が正社員なので、晩婚化に対する非正規の影響は小さいと思います。

 

しかし、正規と非正規の差をなくすためだけに「同一労働同一賃金」になれば、そんな正社員男性達も非正規化します。

 

非正規雇用自体に問題があるわけではないので、それが良いかどうかは他の政策との兼ね合いによりますが、現在の大衆心理的を考えると、急いで制度改革をしても、大きな反発が生まれるのは目に見えています。

 

それを考慮しているのが、自民・山本議員や竹中さんであり、民主・辻本議員は無視しているわけです。

 

そういった流れの中で、竹中さんは民主・辻本議員に対し、

「辻本さんは耳触りの良いことばかりを言うけど、同一労働同一賃金にすれば、正社員が減りますよね?なぜそのデメリットをちゃんと言わないんですか?」

というような意味で、

「(実現を目指すなら)正社員をなくしましょうって、やっぱね言わなきゃいけない」

と発言したんです。

 

ここでいう「言わなきゃいけない」のは、民主・辻本議員であり、竹中さんがそう思っているという話ではありません。

 

意味的には、

「(同一労働同一賃金化すれば)正社員が減るってことを、(辻本さんが)言わないのは不誠実ではありませんか?」

という感じです。

要約すると、「辻本さんの主張では、より事態は悪くなるよ?」ということです。

 

痛みを伴わない改革はないので、どこにどんな風に痛みが発生するか、予想を立ててくれた上で是非を投げかけてくれる人の方が、私は信頼できます。

 

こうして流れを読めば、竹中さんは正社員の待遇が悪くなることを危惧していて、楽観的な辻本さんに苦言を呈しているだけだということが分かります。

 

逆に近い意味で伝わってしまっているのは問題です。

Yahoo!ニュースの佐々木弁護士の記事でいえば、誤報に近く、悪質性を感じます。

 

怖いのは、Y!の佐々木弁護士は自分では朝生を観ていないことです。

ライブドアニュースを読んで誤解し、記事にしてしまっているようで、裏付け取材を行わない市民メディアの問題をよく現していると思います。

 

ラブドアニュースの記事が、流し込みなのかオリジナルなのかは分かりませんが、冒頭の記事は引用元が記載されていないので、オリジナルでしょうか?

Wikiをみるとライブドアニュースではパブリック・ジャーナリストが記事を書いていないとありますが、誰が書いているのでしょうかね?

 

一般人がジャーナリストと同レベルの考察をするのは難しいですね。

ライブドアニュースでどうなっているのか分かりませんし、ジャーナリストにも間違いはありますが、それを生業としていない人達が、同程度の情報量を持つのは難しいです。

また、単位が小さくなるほど、公利性が薄くなっていきます。

 

ブログメディアの真実性は、多様性にかけるしかありません。

沢山の記事や思想にふれ、側面的考察に偏らないようにしなければいけません。

 

しかし、1つのニュースについて、常に何本もの記事を読み比べするでしょうか?

 

私は一応読み比べを心がけていますが、朝生の中で「20歳辺りの人達の内、半分くらいは今回の選挙の存在自体を知らなかった」と言っていました。

報道や社会問題に触れる機会が少ない人達は一定数いるわけです。

その人達がたまたまた話題になっている記事にアクセスすることはあったとしても、真実性を求めて深追いするでしょうか。

中には執拗に追いかける人もいるかもしれませんが、それはそれで、公平性が担保されているのかという問題も出てきます。

 

記事への反応をみると、Y!の佐々木弁護士と同様に、番組自体を観ずに語ってしまっている人が多いのではないかという気がします。

読み比べどころか、核となる情報自体にもアクセスしないわけです。

 

TV番組の場合は、時期を過ぎてしまえば確認がしにくいですし、誤報はそれ自体が問題であって、信じる人により大きな責任があるとは思いません。

情報を前提に考察するのは、分業社会の中では必然の結果です。

情報に捏造や誤解を招く表現があるのなら、それ自体の罪が重いです。

 

でも一方で、読み解く力というのも大事です。

個人的には、ライブドアニュースの書き方は、故意性を感じるのでアウトだと思いますが、佐々木弁護士の記事については、引っ掛かりを覚えるくらいの人間力が、読み手にあっても良いのではないかと思います。