物流パンク、間に合わずドライバーは10万円自腹で配送、ヤマトは100時間サービス残業 | ビジネスジャーナル
短日配送システムは、まず第一に、物販に関わる企業(メーカー・小売・配送など)のストック用コストを調整するためのものであろうと思います。
消費者ニーズにあわせて、というのも嘘ではないと思いますが、損にしかならない仕組みを採用することはできません。
「宅配ボックス」の拡充を訴える声がありますが、それはエコ(ゴミの分別など)の問題と一緒で、業者コストを消費者負担にすり替えるだけです。
そうすると社会からコストが消えたかのように見えますが、実際は消えていませんので、水面下で人々の暮らしは苦しくなっていきます。
たとえば、その設備投資は誰の負担か、商品が破損していたり盗難にあった場合の責任は誰が負うのか、消費期限があるものやコワレモノの扱いはどうするのか、といった問題があります。
設備を拡充するにしても、管理者を配置するにしても、回り回って消費者負担になります。
そもそも全ての住宅に設置するのは不可能ですし、コンビニなどでの預かりにも限界があります。
「宅配ボックス」は、企業側が負担すべきコストを、消費者に転換する案です。
消費者は、送料とは別に消費に対して負担が増えるということですが、買い控えが起これば元も子もありません。
「配送料の値上げ」については理にかなっていると思います。
問題は、出荷企業と消費者のどちらが担うかです。
基本的に送料は消費者が負担していますし、企業が負担しても、消費者が負担しても、結局は消費者が負担させられることが多いです。(商品価格に上乗せ、労働賃金が下がる)
しかし、どちらでも全く同じ結果になるとは限りません。
提携契約料は、配送量と配送単価が反比例するようになっています。
多く荷物を出す企業ほど配送単価が安くなります。
アマゾンの配送料はなぜ無料?例えばアマゾンで1,500... - Yahoo!知恵袋
amazonの送料無料は誰が負担しているの? 【OKWave】
でも、配送業の場合は性質的に逆であるべきです。
出荷物の多い企業ほど高い配送料を払うのが理屈として正しく(労働者を多く雇うわけですから)、企業間での提携料金を見直すことが、現在の「配送問題」における解決策ではないかと思います。
そうすることで、配送量と配送報酬の釣りあいがとれていきます。
多く配達する人は沢山報酬をもらえるという、本来の姿に戻ります。
配達員は歩合制、出荷物が多い企業には優遇措置、という相反する事情の中では、必然的に薄利多売化していき、配達員は歩合報酬を得られ難くなります。
また、小さな小売の配送料が安くなれば、大手集中の流れが変化するかもしれません。
購入窓口は大手企業だとしても、小さな小売を確保しないと市場で戦えなくなります。
このイノベーションは、配送料だけでなく貧富の差をコントロールする上でも重要です。
値上げ分を消費者が負担しても、配達員の待遇は良くなり難いです。
実質的に商品が値上がりするわけですから、消費力が落ちます。
そうすると、やはり配達員は報酬を得られ難くなります。
「仕事量を減らしてあげたい」と思う人もいるでしょうが、ただ減るだけでは配達員の収入が減ってしまいます。
でも、大口企業で送料が値上げされても(商品を値上げしても)、小口の小売企業が安い配送料で送れるなら、消費者はそちらで買うようになります。
社会全体でみた時の消費力が落ちるとは限りません。
配送量が変わらず配送料が値上がりする場合、配送業者は儲かりますから、配達員の報酬アップや増員、地元業者との連携が取りやすくなります。
大口取引に対して優遇措置を行うのはビジネスでは一般的なことですが、そうする必要性があるのは受注努力が必要な時です。
現在やこれからのように、配送業のニーズが高い時には、それほど必要な措置ではない気がしますが…
日本通運とヤマトHDを分析する | 小宮一慶の会計でわかる日本経済の論点 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
ヤマトは実際、提携契約料の値上げ交渉を行い、そこから増員を試みています。
上で書いた方法に近いことを既に実行しているということですが、おそらく、配送料格差を是正するほどの変更ではありません。
仕方ありませんが、配送料に格差がある限り、ヤマトの懐具合が左右するに留まります。
ターミナルやハブなどを積極的に作っているようなので、大口取引がなくてもやっていけるのかどうかは分かりません。
ただ、(個人的にはヤマトはいつも感じが良くて好きですが)ヤマトは売上の中でインターネット取引が占める割合が高いので、この問題の主役でもあります。
ターミナルや倉庫はともかく、ネット通販は小口配送が多いでしょうから、そこに配送料格差を設ける根拠があるとは思えません。
消費者は、価格が一緒なら送料が安い方で買いますし、そういった変動があっても集荷・配送ともに負担はそう変わらないと思います。
沢山使えば安くなる!というのは利用動機のひとつにはなりますが、デジタルビジネスと違って、ニーズの数だけ労働力が必要になる業種ですよね。
雇用枠も拡大していますし、社会貢献度の高い業種だと思いますが、独自の儲け方が必要とされているのだろうなと感じます。
いずれにしても、ヤマトが提携料金の見直しを行っていることを考慮すれば、小口配送の問題は、不在荷物の扱い云々よりも、やはり提携料金の方がネックになっているのだと思います。
その場合、提携料金のあり方を見直して、消費者の選択肢を増やすことが重要であり、消費者の配送料負担を上げても解決しないだろうと思います。