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ノモア

no more, no less

「鳥取養護学校」の犯人捜し

社会 仕事

 

news.tv-asahi.co.jp

鳥取養護学校:看護師全員が一斉に辞職 - 毎日新聞

 

記事によって情報量に差がありますが、幾つかの記事を参照した感じでは、

生徒約70人のうち約30人に、たんの吸引や経管栄養法などのケアが必要であり、8人体制で行うべき対応を、非常勤の女性看護師6名が行っていた。

保護者から点滴の位置などでクレームが入っていて、吸引ケアの時間を数分遅れたことで、看護師のひとりは、保護者から毎日厳しく一挙手一投足を指導された。

先生たちは助けてくれなかった。

看護師達は学校側に要望を出していたが、改善がみられなかったため、ひとりが限界を感じて辞職した。

残りの5人も不安を感じて退職した。

学校側は、病院から看護師を派遣してもらうことで急場を凌ぎながら、看護師を募集して体制を立て直していくとしている。

看護師は福浜議員に直接コンタクトをとり、事の一部始終を告げていた。

 

 

<鳥取養護学校>全員辞職問題で看護師3人派遣 通学可能に (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

現時点で3人派遣が決定し、全生徒が通学可能になっているようです。

ということらしいです。

 

どこか普遍的なトラブルなので、一般ケースと重なる部分が多かったのか、大半のコメントは保護者と学校を批判する内容でした。

私は何となく「点滴の下手な看護師っているしな」と思いました。

 

校長が8人体制が必要だと言ったので、6人しかいなかった看護師たちは過重労働であったのだろう、という前提になっているのだと思いますが、30人全員に60分ずつ対応した場合でも、6人体制なら看護師の実働は各5時間程度です。5人体制なら各6時間。

 

看護師ひとりで5人を担当していたという話もありますが、やはり時間的にはそんなものではないかと思います。

 

休憩や雑務を含めると、8時間労働ならフル稼働になるので忙しそうではあります。

でもケア業務に関しては、全てが重労働というわけではないでしょうし、学校ですから、あるていど就業時間とお休みは決まっていると思うので、過重労働があったかどうかまでは、まだ分かりません。

 

ですから少し冷静にニュースを読みましたが、いずれにしても、犯人捜しに興味があったわけではありません。

どちらかというと、世論が気になりました。

 

誰に何ができたのか

一般的には「モンペが悪い」「学校が悪い」となっているようで、大まかにいえば確かに「学校が悪い」のだろうと思います。

 

日頃から看護師にミスがあったのなら、保護者が不安を募らせるのは当然ですし、そのミスが過重労働によって起こっていたのだとすれば、人員不足のせいですから、元凶は学校ということになります。

 

でも、過重労働といえるほどでなかったとしたら、ミスは誰のせい?となります。

だとしても脅迫めいた指導をして良い理由にはなりませんが、保護者にも不安があったとしたら、看護師のスキルも考慮する必要があると思います。

 

教育時間を十分にかけて育てようよ、仕事のできない看護師はチェンジで、

と出来るなら簡単ですが、鳥取県は看護師不足が深刻な状態にあるようです。

鳥取市公式ウェブサイト:「看護師等の医療専門職」不足解消に向けた取組み

 

学校側の怠慢ならともかく、人手を増やしたくても増やせなかったとしたら、その責任を学校側だけにだけ押し付けるのは酷な気がします。

 

ケアの必要な子が増えて負担が増していた

県も学校も看護師も、受け入れ数が増えたことが問題の根にあると言っています。

 

理屈からいえば、看護師の人数にあわせて生徒の受け入れ数を絞るしかありません。

ということは、鳥取擁護学校では定員数以上の生徒を受け入れていたとも捉えることができます。

それを善と取るか悪と取るかです。

 

「親が面倒みろよ」

という意見もあるようですが、これは保育所などの問題と同じです。

その理屈が通るなら、保育所に関しても、親が面倒みろとか、それも嫌なら子供を産むな、なんてことになってしまいます。

 

養護学校へ子供を預けている親のなかにも、日中働いている方や病気の方がいるかもしれません。

働けないのでは、弱者とされる人は永遠に生活を向上させることができません。

保育所が必要であるように、養護学校も必要であろうと思います。

 

そして何より、教育を受ける機会自体が重要です。

デイケアの充実はそれとして必要ですが、学校の代替えにはなりません。

 

完璧であるに越したことはありませんが、事情を持つ親からすれば、多少のヒューマンエラーがあっても、預かってくれる先がある方が助かるかもしれません。

赤ちゃんだって、(良し悪しは別として)背に腹で無名のベビーシッターに依頼することもあるわけで、親にだって生きるための事情があります。

 

そう考えた時、鳥取擁護学校の体制について、すべての親が相殺できないほどの不満をもっていたかどうか、微妙ではないかと思います。

 

一方で、その皺寄せを看護師が担っていたなら、学校側に問題があったと思います。

最初から看護師を派遣してもらえば良かったのに、という考え方もできます。

でも、今できることが以前にもできたかというと、そうとも限りません。

 

推測が入っているので、本当のところは分かりません。

学校が悪いのかもしれませんし、保護者が悪いのかもしれません。

ただ、もしこんな感じだとしたら、学校側にできるのは生徒の締め出しくらいです。

 

受け入れ数を減らすのは、「格差社会」を助長する選択です。

それは、一度レールを外れた人が元には戻れない現象と似ていて、世の中には最初から切符を売ってもらえない人達だっているわけです。

社会の最たる役割は福祉であり、それを良しとしたら存在意義がなくなります。

 

看護師たちについては、権利を行使しただけなので、特に問題は感じません。

ただ同時に、世間様が感じているような英断というほどの行為でもない気がします。

 

残り5人は「不安を感じて辞めた」ということらしいので、抗議心から一枚岩となって辞めたというより、人数が減れば仕事量が増えるとか、誰かが保護者対応をするはめになるとか、合理的に考えた結果、一斉辞職という形になったのでしょう。

 

一般企業では難しいので、ある種の羨ましさは感じます。

でも、一斉辞職もまた事なかれの一種のような気がしますし、人数が少ないから一斉のようにみえるだけで、一般企業でも終わる時はパラパラと散っていきます。

 

職業は自由に選択できるので、辞めることは問題ありません。

むしろ、犠牲ありきの人情節を受け入れる方が難しいです。

ただ、立場だけで善悪を決めつけることもできませんから、安易な犯人捜しが行われているとすれば、報道の仕方に影響を受けているような気がします。

 

解決策、とまでは言えないにしても

でも、全く解決策がないわけでもないと思います。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

たとえば、養護学校で働くには看護師資格が必要なのだそうですが(教員は別)、鳥取養護学校では現在、保護者が一部のケアを行っているようです。

 

看護師が務める方が合理的なのは分かりますが、素人でもできているわけです。

看護師資格って必須にする必要あるのかな?という疑問が生まれますよね。

 

医療行為を行える資格保有者はいた方が良いです。

でも、全員がそうである必要はないはずです。

医師や看護師が責任者となって指導すれば、資格を持っていない人でも出来る事があるのではないかと思います。

 

うちには寝たきりの祖母とアルツハイマーの祖父がいましたが、医師の指導のもと、在宅療養をしていました。

吸引ケアや経管栄養法による食事は、指導を受ければ素人でも可能です。

実際、家や学校でも保護者がやっているわけですしね。

 

喀痰吸引等(たんの吸引等)の制度について 東京都福祉保健局

喀痰吸引等研修についてのよくあるご質問 | ピュアハピネス

 

吸引ケアは研修制度があるので、どうしても資格が必要だというなら、研修対象者を広げれば良いのではないかと思います。

ケアする人は教師ではないので、ピンポイントの知識を身につければ、責任者の下で行為にあたれますよね。

 

たとえ一部の行為であっても、サポートできる人が増えれば足しにはなるでしょうし、人員補充もしやすくなります。

人数がいれば全員がフルタイムでなくても良くなりますし、かといって、看護師の需要が下がるというほど競合になるわけでもないと思います。

 

規定について詳しくは知りませんが、昔は教師がケアにあたれたそうです。

今は全面禁止になっていて、看護師資格が必須となっています。

教師の負担を考えれば悪法とまでは言えませんが、分業化の対策もなされてこなかったわけで、人員不足は起こるべくして起こっているといえます。

とりあえず枠だけ作って後で困るって、もはや日本の伝統芸です。

 

日本全国で起こっている問題のような気がするので、現実にあわない規定があるなら、早急に見直した方が良いと思います。

医療行為には専門家が必要ですが、家庭の中でできる程度のことまで、専門家の権益にする必要はありません。

 

非常勤であるとか、校長の人間性だとか、鑑みて学校が非難を受ける部分があるのは仕方がないのかもしれませんが、それもまた末端批判のように思えてなりません。

本当に三つ巴状態なのでしょうかね。

 

私は、本件の場合、問題は人材不足を助長する規定にあるような気がします。