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なぜ「弱者男性」の敵が「フェミニスト」なのか

弱者男性

少し前のエントリーで「弱者男性」という言葉の存在を知りました。

d.hatena.ne.jp

 

はてな村「フェミニスト」vs「弱者男性」の総括

フェミニズムには、男性のジェンダー不平等も解消する義務がある

「弱者男性」は何を望むのか? - キリンが逆立ちしたピアス

いい加減“弱者男性”をフェミニズム批判の道具にするのをやめろよ。

男同士で階級を作ることで、男は女を支配し優位に立つことができてた

フェミが叩かれやすいたった1つの理由

「弱者男性」の敵はマチズモ

フェミが弱者男性の弾圧に一役買っているということ

弱者男性話を、font-daさんがまとめているけれど

 

でも、記事毎に定義も論点も違うようです。

ある記事では生活困窮者を指し、別の記事ではアンチフェミという意味で用いられています。

女性に仕事を奪われてより困窮度が深まっている・・・というロジックで大きく括られているのでしょうかね。

 

弱者男性という立場で語られている願望をまとめると、

女性は少々難があっても男性に引き上げてもらえる。

でも、「キモい金なしオッサン」は誰にも引き取ってもらえない。

しかも、女性の社会参画が進むほど、そういった弱者男性は居場所を奪われていく。

男女平等を訴えるなら、成功した女性が弱者男性を引き受けるべきだ。

 という感じみたいです。

 

女性は身なりに気を使っている人が多いため、経済的に困窮していても周囲が気付かず救済されにくいという説もありますから、「キモいオッサン」が同列なのかどうか悩みます。

経済格差は社会問題でも、身なりに気を使わないのは本人の選択であって、それを好むかどうかは個人嗜好の範疇です。

それを敵視するフェミニストに要求しているわけですから、最初から通る要求ではないと分かっていて、形ばかりの反骨をみせているのかなと思いますが、一応、気になる点を書いておきます。

 

なぜ、弱者男性の救済者は女性でなくてはいけないのか?

女性や人権問題を訴える人だけが、困窮者を救済する義務を背負っているわけではありません。

男性同士で助け合っても良いわけです。

なぜ女性にだけ救済を求めるのでしょうか?

 

フェミニストの多くは、「金持ちの男性は貧困女性を扶養すべき」と言っているわけではなく、賃金や機会の不平等について改善を求めています。

なぜ弱者男性の立場では、社会を通り越し、女性に対して「金持ち女性は貧困男性を扶養すべき」といった要求をするのでしょうか。

女性と同じように、社会に対して是正を求めていくべきだと思います。

 

なぜ弱者男性は弱者女性より深刻に詰んでいるのか - はてこはだいたい家にいる

 

一方で、こちらの記事は福祉に寄った話ですが、男女で協力していく必要があるという結論は妥当なものだと思います。

 

ただ、説明で男女の差異について触れているため、不要な男女論になってしまっている気がします。

 

年齢性別を問わず、ひとりで誰かをサポートするのは大変です。

チームでサポートしていく必要があり、そのチームには、老若男女がバランス良く含まれている方が良いです。

 

「女性にはできないことがある」のではなく、「ひとりではできないことがある」と捉える方が良いのではないかと思います。

 

フェミニストに保護を求めるな」と「男女で協力していくべき」という意見は、一見すると相反するようですが、問題は、弱者に対してのサポートは男女どちらが行っても良いのに(または協力していくべきなのに)、女性が行うべきだと決め打ちして要求していることです。

それこそ性差別です。

 

「親の介護は妻がやれ」という思想と大差なく、女性にだけ義務を課すとしたら性差別に成り得ます。

 

フェミニスト

弱者男性が想定するフェミニストは、高学歴で高所得の女性らしいですが、まずその前提がどうなのかと思います。

 

確かに、発言機会を与えられる女性はそういうタイプが多いと思います。 

少子化解消するにはシングル出産をしやすい社会にするしかない!」と訴える女性の多くも、本人がシングルマザーであり、高学歴高所得者であったりしますしね。

 

彼女達は女性の社会参画の一環としてその主張をしますが、家族を大事に思う女性からすれば、「少子化解消=育児支援」というワードで辛うじて繋がっているだけで、同意見ではありません。

彼女達は自己救済や自己保身を元に主張しているだけで、女性全般の幸福権について主張しているわけではありません。

 

これについては別に機会があれば書きたいと思いますが、発言者が女性であり、体制批判をしているからといって、そういった人達までフェミニストとして括られていることに疑問を感じます。

 

架空の対立関係

本来のフェミニストの要望は、男女の格差是正(同権)であり、特権を求めているわけではありません。

立場的には未だ弱者であり、弱者男性と立場が近いので、「フェミニストVS弱者男性」という対立構造が成立していません。

 

それに、成功した男性が好みで無いオバサンを引き受けているわけではありませんから、立場を逆転させた例としても成立していません。

 

男性の成功者と同じように、女性が成功者になった場合も、条件の揃った人の需要が高くなります。

女性の場合だけ、成功者になったら好みを優先させてはいけない、という要望であるなら、その要求自体が差別的です。

 

年収階層分布図2014-年収ラボ

 

また、年収600万円以上の女性は5.4%で、年収300万円以下の男性は42.8%です。

 

「高所得女性は弱者男性を面倒みるべき」という主張は、女性の社会参画が進んでいるという前提で語られているのだと思いますが、年収600万円以上の男性が27%以上いるのに対し、女性はまだ5.4%で、年収300万円以下の女性は81%以上もいます。

 

第1 就業状態の動向

 

男女の労働人口は、6:4です。

生産世代でも男性労働者は57%くらいなので、男女差は少ないです。

 

女性の就業態がM字カーブとなることや、派遣社員割合を考慮しても、高所得女性は12%くらいが正常値です。

ところが、今は正常値の半分以下です。

 

この状況では、全ての高所得女性が弱者男性を受け入れたとしても、弱者男性の35%以上が余ります。

女性の高所得者が増えないと、弱者男性の受け入れ候補先自体が足りません。 

 

女性も男性と同程度の所得や社会的地位を手に入れられるようになれば、自然と男女の役割が逆転するカップルも出てくると思います。

実際、既に社会はそうなりつつあると思います。

私の周囲でも、実質的な世帯主が妻であるケースは珍しくありません。

 

かつては、夫婦における個別の組み合わせは、男性年上が多かったのですが、今は同世代の組み合わせが一番多いです。

全体でいえばまだ男性年上は多いですが、女性年上も増えていて、こういった組み合わせの変化からも、関係性の変化をみて取れます。

 

「弱者男性」の要望というよりは、予備軍の鬱積ではないかと思いますが、その立場で語られる願望は、女性の社会進出が叶わなければ実現できません。

 

弱者男性にとって、本来のフェミニストは目的に重なる部分がある味方であり、是正が必要なのであれば、既存の社会構造について改善を求めていくべきではないかと思います。